毎日の台所には、いろいろな日があります。誰かのために手をかけたいときも、少し肩の力をぬきたいときも。そのどんな日にも寄り添いたいという思いから「日々のだし」は生まれました。
料理店と向き合い、応えてきたおいしさを、そのままご家庭でも使いやすいかたちに。「日々のだし」はおみそ汁や煮物、炊き込みごはんなど、ふだんの料理に寄り添うだしです。
今回は、ご挨拶も兼ねて、私たちのこれまでと、どんな考えでだしをつくっているのかを、少しだけお話しさせてください。
京都で100年、料理店の味を支える
「日々のだし」をつくっているのは、京都でだし素材屋を営む、福島鰹です。大正11年(1922年)、京都御所のほど近く、堺町通竹屋町で創業しました。店を構えて100年あまり、かつお節やさば節などの節、その節を削ってつくる削り節、昆布といっただし素材を、料理店にお届けしています。伺うのは、町のうどん屋や定食屋、割烹、料亭とさまざまです。
私たちの仕事は、だし素材を納めるだけではありません。「もう少しだしに深みを出したい」「旬の食材を引き立てるだしがほしい」、そんなお声をいただいたら、味づくりをご一緒します。
だしは数種類の素材を組み合わせることで、味に奥行きや深みがでます。そのため、まず、私たちが扱う何十種類ものだし素材の中から、ふさわしいものを選び、配合を考えます。使うだし素材には、添加物を加えていません。日々、味づくりに真摯に向き合う料理人の方々に使っていただくものだからこそ、何かを足して味を整えるのではなく、そのもののおいしさを大切にしてきました。そのうえでしょうゆやみりんなどの調味料、料理との相性、料理人の好みも踏まえて、その店ならではの味を探っていきます。
料理人の方々は、わずかなちがいにも敏感です。一度で納得いただけることはそうそうありません。ときには厳しいご指摘をもらうことも……。その言葉を胸にとめて、また試作のだしを持ってお店に通い、味を見ていただく。そのやりとりを何度も続けてきました。「これでいきましょう」と言っていただけたときは、本当にうれしく、この仕事をしていて一番やりがいを感じる瞬間です。
そうして一軒一軒に応え続けてきたことが、素材を見る目や、料理に合う組み合わせを見立てる力につながっています。
そして、100年の積み重ねは、人と人との出会いの積み重ねでもあります。一軒のお店に喜んでいただいたことが、また新しい出会いを呼びました。喜びがめぐっていくように、私たちのだしが届く先を、少しずつ広げていきたいと思っています。
料理店に届けてきたものを、今度はご家庭へ
「料理店と重ねてきたご縁を、今度はご家庭にも」。実はこれまでも長いあいだ、そう思い続けてきました。ようやくかたちにできたのが、「日々のだし」です。
ご家庭にお届けするにあたり、何より大切にしたのは「自分たちの大切な人に食べてもらいたいと思えるものをつくる」ということでした。そのため、品質は妥協せず、料理店に納めているものと同じ。添加物に頼ることのない、原材料の持ち味をいかしただし素材を使っています。
ご家庭での使いやすさも考え、使い切りやすい少量のものからたっぷり使える大容量まで、用途や生活スタイルに合わせて選べるように商品をそろえました。削り節や昆布などのだし素材はもちろん、手軽にだしが取れるだしパックや、だしをきかせただしつゆやかつおしぐれなども用意しています。
そして、考え続けているのが価格のこと。ふだんの料理に使っていただくものだからこそ、無理なく手に取れるものにしたい。納得できる素材を選ぶこと、生産者と長くお付き合いしていくこと、そして、お使いいただく方が続けやすいこと。そのちょうどいいかたちを探していきます。
吟味した素材のみで、いつも変わらない味をつくる
だしのおいしさは使う原材料によって大きく変わります。だからこそ、私たちは、何を仕入れるかをじっくり見極めます。年に何度も生産者のもとを訪ね、話をうかがい、そのときどきの原材料の様子を自分たちの目で確かめています。
だし素材のもととなる魚や昆布は、同じ産地でも水揚げや収穫の時期、加工の仕上がりによって、味が少しずつ変わります。自然のものだからこそ、同じものはありません。それが天然素材のおもしろさでもあります。だからこそ、産地で味を確かめたものでも、入荷のたびに吟味し、納得したものだけを選んでいます。特に「これだ」というものに出会えたときには、思い切ってまとまった量を仕入れることも。そうして分けていただいたものは、時間をかけてじっくり熟成させ、頃合いを見て出荷します。
生産者さんとは、ふだんから顔の見えるお付き合いを続けています。仕上がりについて、よかったことも、気になったことも、率直に伝え、また次へ。そうしたやりとりを重ねながら、おいしく、安心して使っていただける商品をつくっています。いい天然素材を安定して仕入れるのは簡単ではありません。それでも納得できるものを長く届けていただけるのは、言葉を交わし、ともにより良いものを考えてきた、生産者さんとの関係があってこそです。
だし素材を加工するのは、京都府・南丹市にある福島鰹の工場です。各地から届いた原材料はすべてこの工場で削り加工を施します。商品は、一つの節を削ったものだけでつくるわけではありません。産地や水揚げの時期などが異なるものを複数組み合わせています。これはそれぞれの味を見ながら調整することで、天然素材ならではのばらつきをならすためです。少し手間はかかりますが、こうすることでいつ手に取っていただいても、同じ味、変わらないおいしさをお届けするために欠かせない工程です。
日々の食卓に「ささやかなうれしい」を
だし素材を扱う私たちも感じていることですが、だしを取るのは、手間のかかることでもあります。ゆっくり料理を楽しめるときもあれば、時間をかけられないときもある。日々の暮らしは、いつも同じようにはいかないもの……。
だからこそ、だしの楽しみ方は一つでなくてもよいのではと思っています。時間をかけてじっくりだしを取ることも、だしパックや調味料を手軽に使うこともできる。「日々のだし」では、その日の過ごし方や気分に合わせて、ご自身にちょうどいいものを選んでいただけたらと思います。
料理が仕上がったときに、「よし」と思える。みそ汁をひと口飲んだ家族が、「おいしいね」と言ってくれる。そんな小さな満足や喜びが、料理の時間や食卓に生まれる。そのそばに、私たちのだしが寄り添えたらと思います。